○玉野市議会基本条例
平成25年2月19日
条例第3号
目次
前文
第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第7条)
第3章 市民と議会の関係(第8条・第9条)
第4章 議会と市長等の関係(第10条―第14条)
第5章 議員間討議(第15条)
第6章 委員会の活動(第16条)
第7章 政務活動費(第17条)
第8章 議会及び議会事務局の体制整備(第18条―第22条)
第9章 議員の政治倫理、定数及び報酬(第23条―第25条)
第10章 条例の検証(第26条)
附則
地方議会は、市民から直接選挙で選ばれた議員と市長とで構成された二元代表制のもと、緊張ある関係を保ちつつ、日本国憲法に定める地方自治の本旨の実現を目指すものである。
地方分権のもと、自治体の権限が一層拡大する中、議事機関としての議会は、立法機能を十分発揮しながら、市民の多様な意思を反映させるための議論、市政の監視評価、政策立案、情報の公開、市民への報告などが求められており、市議会の役割はますます重要になっている。
我が玉野市は、瀬戸内海の風光明媚な海岸線や山々に恵まれ、国の重要港湾である宇野港を擁する船と港のまちとして栄え、山海の資源に育まれ、先人達が営々として築いてきた。今後も、市民一人ひとりが安全・安心に暮らせるよう努め、幸せで豊かなまちの未来を築いていく必要がある。
玉野市議会は、これまでの議会改革の取り組みをさらに推進し、公正、透明で「真に開かれた議会」を確立し、市民とともに、地域における民主主義と住民自治を発展させ、市民福祉の向上と、よりよい玉野市の未来を築いていくものである。
ここに、本市議会は、市民の信託に全力を挙げて応えていくことを決意し、責任と強い意志を持ち、議会の最高規範として、玉野市議会基本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員が担う役割を果たすために必要な基本的事項を定めることにより、議会の活性化及び市民参加を基本とした、市民の信託に応えられる、真に開かれた議会運営の実現を図るとともに、地方自治の本旨に基づき公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は、議会における最高規範であり、議会に関する他の条例及び規則等は、この条例と整合を図るものとする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、市民を代表する議事機関であることを自覚し、市長及び執行機関(以下「市長等」という。)による市政運営を監視及び評価するとともに、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 公平性及び透明性を確保し、市民に分かりやすく開かれた議会とすること。
(2) 市民の多様な意見を把握し、政策立案及び政策提案の強化を図るとともに、把握した意見を市政に反映させる議会運営を行うこと。
(3) 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第109条第1項の規定に基づき設置する議会運営委員会で定めた事項を遵守するとともに、不断の見直しを行うこと。
(4) 市民参加が促進されるよう市民の関心が高まる議会運営を行うとともに、積極的な広報活動を行うこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、その責務を認識し、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 市政全般について、個別及び地域別等の市民意見を把握するとともに、自らの資質を高めるため常に研鑽を行い、真に市民の代表としてふさわしい活動をすること。
(議決責任)
第5条 議会は、市の最高意思決定機関として議決責任を深く認識するとともに、その結果について市民に説明する責任を有する。
2 議案に対する議決の賛否は、議決責任の観点から原則として公表する。
(会派)
第6条 議会の会派(以下「会派」という。)は、政策を中心とした同一の理念を共有する議員で構成し活動する。
2 会派の代表者で構成する各会派代表者会議は、各会派の意見を集約し、会派間の意見調整を行う。
(全員協議会)
第7条 議会は、市政及び議会に係る諸事項について討議するため、全員協議会を設置する。
2 全員協議会に関することは、別に定める。
第3章 市民と議会の関係
(情報公開及び市民参加)
第8条 議会は、市民に対する説明責任を十分に果たすため、議会の活動に関する情報公開を積極的に行う。
2 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)並びに全員協議会を原則として公開する。
3 議会にあっては、法第100条の2の規定による専門的知見の活用、委員会にあっては、法第109条第5項において準用する法第115条の2の規定による公聴会及び参考人制度を十分に活用し、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努める。
4 議会は、請願及び陳情を請願又は陳情する者による政策提言として位置づけるとともに、その委員会審査においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けることができる。
(市民との意見交換及び議会報告会)
第9条 議会は、市民との意見交換の場を積極的に設け、市民の多様な意見を聴取するとともに、議員の政策立案能力が向上するよう常に研鑽を行うこととする。
2 市政の諸課題に的確に対処するため、市政全般にわたって議員と市民が自由に情報及び意見を交換するため議会報告会を開催する。
3 議会報告会に関することは、別に定める。
第4章 議会と市長等の関係
(議会と市長等の関係)
第10条 議会は、二元代表制の下、市長等と常に緊張ある関係を構築し、事務の執行の監視及び評価を行うとともに、政策立案、政策提言等を通じて、市政の発展に取り組まなければならない。
2 本会議における一般質問等議員の発言は、論点及び争点を明確にし、市民に分かりやすい言葉を用いるよう努める。
3 議長から本会議及び委員会等(議会が開催するすべての会議を含む。)への出席を要請された市長等は、議長又は委員長等(各種会議の議長又は座長を含む。)の許可を得て議員の質問及び質疑に対して、論点を明確にするため反問することができる。
(政策等形成過程の説明要求及び評価)
第11条 議会は、市政に関する重要な政策、計画、施策及び事業等(以下「政策等」という。)を含む議案等が市長から提出されたときは、次に掲げる事項の説明を求め、市長は政策等の決定過程の説明を行うものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 他の自治体における類似する政策等との比較検討結果
(4) 市民参加の有無とその内容
(5) 玉野市総合計画との整合性
(6) 財源措置及び将来にわたるコスト計算
(7) その他議会審議に必要な事項
2 議会は、前項の政策等の提案及び審議に当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価を行うものとする。
(予算及び決算審議における政策等の説明)
第12条 議会は、予算及び決算の審議に当たっては、前条第1項の規定に準じて、議員に対して分かりやすい施策別又は事業別の説明を市長に求めるものとする。
2 前項の規定による市長の説明は、資料をもって代えることができる。
(報告及び資料の要求)
第13条 議会は、市長等に対し、次に掲げる報告を求めるものとする。
(1) 玉野市総合計画を実現するための長期的で重要な計画の策定状況
(2) 審議会等の開催状況の概要
2 議会は、議案審議等に当たり、市長等に対し、必要に応じて資料の提出を求めることができる。
(議決事件の追加)
第14条 法第96条第2項に規定する議決事件については、別に条例で定める。
第5章 議員間討議
(自由討議)
第15条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由で闊達な討議(以下「自由討議」という。)による運営を行う。
2 議会は、本会議及び委員会において議員、委員会及び市長から提出された議案並びに市民等から提出された請願、陳情等の審議等に当たっては、議員相互間の議論を十分に尽くさなければならない。
3 議員は、自由討議を活用し、議案の提出を積極的に行うよう努める。
4 自由討議に関することは、別に定める。
第6章 委員会の活動
(委員会の活動)
第16条 委員会は、その専門性及び特性を生かして必要の都度開催し、あらゆる行政課題に迅速かつ柔軟に対応しなければならない。
2 委員会審査に当たっては、原則としてその審査を公開するとともに、市民に対して分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
第7章 政務活動費
(政務活動費の執行及び公開)
第17条 会派又は議員は、調査研究、政策立案等に資するために必要な経費の一部として交付される政務活動費については、適正に執行するとともに、その使途及び結果について、透明性を確保するため公開しなければならない。
第8章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第18条 議会は、議員の政策立案等の機能強化を図るため、議員研修を行わなければならない。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家、市民等との議員研修会を積極的に開催するものとする。
(調査機能の充実)
第19条 議会は、市政の課題に関する審査、諮問又は調査のため必要があると認めるときは、議決により学識経験者等で構成する調査機関を設置することができる。
2 議会は、議案の審査又は市の事務に関する調査のため必要があると認められるときは、学識経験を有する者等に専門的事項に係る調査・報告を行わせることができる。
3 第1項の調査機関について必要な事項は、別に定める。
(議会事務局の体制整備)
第20条 議会は、議員の政策形成及び立案機能の支援体制を充実させるため、議会事務局の調査・法制執務機能の充実強化を図らなければならない。
(議会図書室の充実)
第21条 議会は、議会及び議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努め、その有効活用を図らなければならない。
(議会広報の充実)
第22条 議会は、情報技術の発展を踏まえた多様な広報手段を用いて、多くの市民が議会及び市政に関心を持つよう議会広報の充実を図らなければならない。
第9章 議員の政治倫理、定数及び報酬
(議員の政治倫理)
第23条 議員は、市民の信頼及び信託に応えるため、市民全体の代表として自覚と良識を持ち、議員としての品位を保持し、高い倫理感を持って行動しなければならない。
(議員定数)
第24条 議員定数は、議会が有する機能を十分発揮し、市民の意思を的確に市政に反映させるため、議会において活発な議論が行われるよう定めなければならない。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点及び他市との比較のみならず、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮しなければならない。
3 議員定数については、別に条例で定める。
(議員報酬)
第25条 議員報酬の改正に当たっては、市政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮しなければならない。
2 議員報酬については、別に条例で定める。
第10章 条例の検証
(条例の検証及び見直し手続き)
第26条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかにこの条例の目的が達成されているかどうかを、議会運営委員会で検証しなければならない。
2 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、又は、随時この条例の研修を行わなければならない。
3 議会は、第1項の規定による検証の結果に基づき、必要に応じてこの条例の改正を含む適正な措置を取らなければならない。
4 議会は、この条例を改正するときは、本会議において改正の理由、内容及び背景等を詳細に説明しなければならない。
附則
この条例は、平成25年4月1日から施行する。