○外部の労働者等からの通報等への対応手続に関する要綱

令和4年6月1日

告示第236号

(目的)

第1条 この要綱は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)及び「公益通報者保護法を踏まえた地方公共団体の通報対応に関するガイドライン(外部の労働者等からの通報)(平成29年7月31日消費者庁。以下「地方公共団体向けガイドライン」という。)の趣旨を踏まえて、市において外部の労働者等からの法に基づく公益通報及びその他の法令違反等に関する通報等を適切に取り扱うため、これらの通報等への対応手続に関する事項を定めることにより、通報者等の保護を図るとともに、事業者の法令遵守等を推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この要綱において「外部の労働者等」とは、次に掲げる者とする。

(1) 通報内容となる事実に関係する事業者に雇用されている労働者、当該事業者を派遣先とする派遣労働者及び当該事業者と契約関係にある事業者(以下「取引先事業者」という。)の労働者

(2) 通報内容となる事実に関係する事業者及び取引先事業者の理事、取締役その他の役員

(3) 取引先事業者

(4) 前3号に規定する者であった者

(5) 前4号に規定する者のほか通報内容となる事実に関係する事業者の法令遵守等を確保する上で必要と認められる者

2 この要綱において「受付」とは、市に対してなされた通報、相談、意見又は苦情を受けることをいう。

3 この要綱において「受理」とは、市に対してなされた通報について、調査又は法令等に基づく措置その他適当な措置(以下「措置」という。)を行う必要性があるものとして受け付けることをいう。

4 この要綱において「主管課」とは、通報内容となる事実に関する事務を所掌する課をいう。

(組織体制)

第3条 市に対してなされる通報及び相談(以下「通報等」という。)への対応に関する事務を総括するため、総括通報等責任者を置くこととし、総務部長をもって充てる。

2 総括通報等責任者は、通報等への対応に関する規程類の整備、教育研修の実施、通報に関する調査の進捗等の管理その他通報等への適切な対応の確保に関する事務を総括するものとする。

3 総括通報等責任者は、前項に規定する事務を通報等責任者に行わせることができるものとし、通報等責任者は主管課の課長をもって充てる。

第4条 通報等責任者は、主管課において、通報に関する調査の進捗等の管理、職員が教育研修に参加する機会の確保その他通報等への適切な対応の確保に関する事務を掌理するものとする。

(通報・相談窓口)

第5条 市に対してなされる通報等を一元的に取り扱うため、総務課に通報・相談窓口を置くこととし、総括通報等責任者がこれを総括する。

2 通報・相談窓口は、次に掲げる事務を取り扱う。ただし、第1号から第3号までの規定は、通報・相談窓口を経由せずに主管課に対してなされた通報等及び意見又は苦情を、当該主管課において受け付けることを妨げるものではない。

(1) 市に対してなされる通報等の受付に関すること。

(2) 市の通報等への対応についての意見又は苦情の受付に関すること。

(3) 通報者等との連絡調整に関すること。

(4) 主管課との連絡調整に関すること。

(受付の範囲及び取扱い)

第6条 市は、外部の労働者等からの次に掲げる事実についての通報等を受け付けるものとする。

(1) 法第2条第3項に規定する通報対象事実(以下「通報対象事実」という。)

(2) 前号に定めるもののほか、法令及び市の区域内に適用される条例、規則その他の規程に違反する行為に関する事実(当該違反行為について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関がある場合に限る。)

(3) 前2号に定めるもののほか、事業者の法令遵守等の確保及び法令等の適正な執行のために必要と認められるその他の事実

2 前項の規定により受け付けた通報等の内容について、処分又は勧告等をする権限を他の行政機関が有するときは、市は、当該権限を有する他の行政機関を通報者等に対して遅滞なく教示するものとする。

3 市は、通報等があったときは、法及び地方公共団体向けガイドラインの趣旨を踏まえ、誠実かつ公正に通報等に対応し、正当な理由なく通報等の受付又は通報の受理を拒まないものとする。

4 市は、匿名による通報等についても、可能な限り、実名による通報等と同様の取扱いを行うよう努める。

(受付手続)

第7条 通報・相談窓口は、通報等を受け付けたときは、通報等に関する秘密保持及び個人情報の保護に留意しつつ、通報等への対応に必要な事項を通報者等に確認するものとする。ただし、通報者等の同意が得られない場合その他確認に支障がある場合は、この限りでない。

2 通報・相談窓口は、通報等を受け付けたときは、次に掲げる事項を通報者等に説明するものとする。ただし、通報者等が説明を望まない場合、匿名による通報等であるため通報者等への説明が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合はこの限りでない(以下、第11条に規定する通知、次条第1項第2号に規定する教示及び第12条第1項に規定する教示及び資料の提供においても、同様とする。)

(1) 通報等に関する秘密は保持されること。

(2) 個人情報は保護されること。

(3) 通報受付後の手続の流れに関すること。

(受付時の対応)

第8条 通報・相談窓口は、通報等を受け付けたときは、その内容により次の各号のいずれかの措置をとるものとする。

(1) 適切な主管課に通報等を取り次ぐこと。

(2) 市ではなく他の行政機関が通報内容について処分又は勧告等をする権限を有する場合において、当該権限を有する他の行政機関を通報者等に対して遅滞なく教示することその他適切な措置をとること。

2 前項第2号の場合において、通報者等からの通報等に、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている場合には、通報等に関する秘密保持に留意しつつ、個人情報の保護に関する法令等に従い、当該他の行政機関に当該内容について情報提供をすることができるものとする。

(主管課における事実の聴取、受付等)

第9条 主管課は、通報者等から通報等の内容となる事実の詳細その他必要な情報を聴取するものとする。

2 通報・相談窓口を経由せず、主管課が受け付けた通報等については、主管課において第7条及び前条に規定する事務を行うものとする。この場合、主管課は、受け付けた内容を遅滞なく通報・相談窓口に連絡するものとする。

(受理手続)

第10条 主管課は、通報を受け付けた後は、法及び地方公共団体向けガイドラインの趣旨並びに関係する法令等の規定及び所掌事務を踏まえて当該通報に関して調査又は措置を行う必要性について十分に検討し、これを受理するときはその旨(第3項の期間を設定した場合にはその期間を含む。)を、受理しないとき(情報提供として受け付けることを含む。)はその旨及びその理由を、通報・相談窓口に回答する。

2 前項の場合において、当該通報に関して調査又は措置を行う必要性について検討するに当たっては、当該通報内容に係る違法行為等が生じ、又は生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由(以下「真実相当性の要件」という。)が、当該通報内容を裏付ける内部資料、関係者による供述等の存在のみならず、通報者本人による供述内容の具体性、迫真性等によっても認められ得ることを十分に踏まえ、柔軟かつ適切に対応するものとする。また、通報が真実相当性の要件を満たしているかどうかが直ちに明らかでない場合においても、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性が認められる場合には、同様に対応するものとする。

(受理等の通知)

第11条 前条第1項の回答を受けた通報・相談窓口は、その内容を当該通報を行った通報者に対して遅滞なく通知しなくてはならない。

(受理後の教示)

第12条 通報を受理した後において、主管課ではなく他の行政機関が処分又は勧告等をする権限を有することが明らかになった場合は、当該主管課は、当該権限を有する当該他の行政機関を、通報者に対して遅滞なく教示しなければならない。この場合において、当該教示を行う主管課は、適切な法執行の確保及び利害関係人の営業秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、自ら作成した当該通報に係る資料を通報者に提供するものとする。

2 主管課は、前項前段の場合において、当該通報に、個人の生命、身体、財産その他の利益に重大な影響を及ぼす可能性のある内容が含まれている場合には、通報に関する秘密保持に留意しつつ、個人情報の保護に関する法令等に従い、当該他の行政機関に当該内容について情報提供をすることができるものとする。

(調査の実施)

第13条 通報を受理した主管課は、当該通報に関する秘密を保持するとともに、個人情報を保護するため、通報者が調査等の対象となる事業者及びその関係者に特定されないよう十分に留意しつつ、速やかに必要かつ相当と認められる方法で調査を行う。

2 総括通報等責任者及び通報等責任者は、調査の方法、内容等の適正性を確保するとともに、調査の適切な進捗を図るため、調査について適宜確認を行う等の方法により、通報事案を適切に管理する。

(調査結果に基づく措置)

第14条 主管課は、調査の結果、第6条第1項に掲げる事実があると認めるときは、速やかに措置をとらなければならない。

(協力義務等)

第15条 市は、通報対象事実又はその他の法令等に違反する事実に関し、処分又は勧告等をする権限を有する行政機関が市の他にもある場合においては、当該他の行政機関と連携して調査を行い、措置をとる等、相互に緊密に連絡し協力する。

(秘密保持及び個人情報保護の徹底)

第16条 通報等への対応に関与した職員(通報等への対応に付随する職務等を通じて、通報等に関する秘密を知り得た者を含む。以下同じ。)は、通報等に関する秘密を漏らしてはならない。

2 通報等への対応に関与した職員は、当該対応手続において知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

3 通報等への対応に関与する職員は、通報等に関する秘密保持及び個人情報保護の徹底を図るため、通報等への対応の各段階(通報等の受付、教示、調査、措置及び通報者等への結果の通知。以下同じ。)及び通報等への対応終了後において、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 情報を共有する範囲及び共有する情報の範囲を必要最小限に限定すること。

(2) 通報者等の特定につながり得る情報(通報者等の氏名、所属等の個人情報のほか、調査が通報を端緒としたものであること、通報者等しか知り得ない情報等を含む。以下同じ。)については、調査等の対象となる事業者及びその関係者に対して開示しないこと(通報対応を適切に行う上で真に必要な最小限の情報を、次号に規定する同意を取得して開示する場合を除く。)

4 主管課における通報等への対応に際する秘密保持及び個人情報の保護に関しては、前3項に定めるもののほか、個人情報の保護に関する法令等に従うものとする。

(利益相反関係の排除)

第17条 市の職員は、自ら又はその親族が当事者となっている案件に関する通報その他利益相反関係を有する案件についての通報等への対応に関与してはならない。

2 主管課は、通報等への対応の各段階において、通報等への対応に関与する者が当該通報に利益相反関係を有していないか確認するものとする。

(通報者等の保護)

第18条 市は、第16条の規定に正当な理由なく違反した職員に対しては、懲戒処分その他の適切な措置をとるものとする。

2 市は、通報対応の終了後においても、通報者からの相談等に適切に対応するとともに、通報者等が、通報等をしたことを理由として、事業者から解雇その他不利益な取扱いを受けていることが明らかになった場合には、消費者庁の公益通報者保護制度相談ダイヤル、各都道府県労働局等を紹介するなど、通報者等の保護に係る必要なフォローアップを行うよう努める。

(他の法令等との関係)

第19条 本要綱で定める通報等への対応手続については、他の法令及び市の区域内に適用される条例、規則その他の規程に特別の定めがある場合又はこれに基づく運用がある場合を除くほか、本要綱の定めるところによる。

この要綱は、令和4年6月1日から施行する。

外部の労働者等からの通報等への対応手続に関する要綱

令和4年6月1日 告示第236号

(令和4年6月1日施行)