○玉野市環境基本条例

平成14年3月29日

条例第12号

前文

私たちのまち玉野市は、瀬戸内海に面し、少雨・温暖な気候に加えて、背後には瀬戸内海国立公園区域を有する山林と自然林に囲まれた深山公園や美しい海岸線を有する渋川海岸など山海の豊富な資源・自然に恵まれている。私たちは、このかけがえのない豊かな環境を後世に残すため、これまで「環境都市宣言」や「玉野市ポイ捨て防止に関する条例」を制定するなど、積極的に環境を守る努力を続けてきた。

しかしながら、今日の大量生産、大量消費、大量廃棄型の社会経済活動の拡大、都市化の進展、生活様式の変化などに伴い、本市においても従来の環境行政の枠組みだけでは対応が困難な都市型及び生活型の公害や身近な自然の減少などの問題が顕在化してきておりさらに、個々人の活動及び都市の活動そのものが直接又は間接に地球規模で環境に影響を与えてきていることから、新たな対応が求められている。

そうした中で、玉野市は平成12年12月に県下の自治体としては初となる、環境に関する国際規格「ISO14001」の認証を取得した。

いうまでもなく、すべての人は、健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を享受する権利を有すると同時に、こうした恵み豊かな環境を維持し、発展させ、将来の世代に継承していく責務を有している。

特に私たちは、日々のくらしが先人のたゆまぬ努力によって守られ、かつ、築き上げられてきた瀬戸内の自然環境及び歴史的、文化的な所産の恵沢によって支えられていること、並びにこれらをさらに発展させ、より快適な環境を創造し、将来の世代に引き継いでいかなければならないという重要な使命を有することを忘れてはならない。

このような認識のもと、私たちは、市民、事業者及び行政のすべての者の協働によって、この玉野市が人と自然が健全に共生し、かつ、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な都市となることを目指すとともに、地球環境の保全に貢献していくために、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、本市の良好な環境の保全並びに快適な環境の維持及び創造(以下「環境の保全及び創造」という。)について基本理念を定め、市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、施策の基本的事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する基本施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で安全かつ快適な生活を営むことのできる恵み豊かな環境を確保し、継承することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球温暖化、オゾン層の破壊、海洋の汚染その他の地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に対する環境の保全であって、市民の健康で安全かつ快適な文化的生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、騒音、振動、悪臭、土壌の汚染、地盤の沈下(鉱物の堀採のための土地の掘削によるものを除く。)等によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健全で恵み豊かな環境を享受し、良好な環境を維持して、これを将来の世代へ継承していくことを目的として適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、人類がその一部として存在し、活動している自然の生態系の均衡を尊重し、人と自然が健全に共生していくことを目的として行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、環境の復元力には限界があることを認識し、資源の適正な管理及び循環的な利用の促進等により環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な都市を構築することを目的として、すべての者が公平な役割分担の下に主体的かつ積極的にこれに取り組むことによって、行われなければならない。

4 地球環境保全は、すべての者がこれを自らの課題として認識し、日常生活及びあらゆる事業活動において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、実施する責務を有する。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たって、これに伴って生ずる公害を防止し、自然環境を適正に保全及び回復するために必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たって、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するよう努めるとともに、その事業活動において、廃棄物の発生を抑制し、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するよう努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者は、自ら環境の保全及び創造に資するよう努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に参画し、協力する責務を有する。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活に伴う資源及びエネルギーの消費、廃棄物の排出等による環境への負荷を低減するよう努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に積極的に参画し、協力する責務を有する。

(施策の基本方針)

第7条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の策定及び実施にあたっては、次に掲げる事項を基本として、施策相互の有機的な連携を図りつつ、これを総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を将来にわたって良好な状態に保持すること。

(2) 地球環境保全を積極的に推進すること。

(3) 廃棄物の発生の抑制並びに資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を促進し、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な都市を構築すること。

(4) 森林、緑地、水辺等における多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて体系的に管理及び保全すること。

(5) 人と自然との豊かな触れ合いの確保及び良好な景観の保全を図りながら、地域の特性に応じた快適な生活環境の創造を推進すること。

(6) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図ること。

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、玉野市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する目標

(2) 環境の保全及び創造に関する施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民及び事業者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、玉野市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかにこれを公表するものとする。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合性の確保)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策に係る計画を策定し、実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るほか、環境への負荷が低減されるよう十分配慮しなければならない。

(総合的調整)

第10条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の実効的かつ体系的な推進を図るため、次に掲げる事項について必要な総合的調整を行わなければならない。

(1) 環境基本計画の策定及び変更に関すること

(2) 環境の保全及び創造に関する施策の策定並びに実施に関すること

(3) その他環境の保全及び創造に関する施策の総合的推進に関すること

(玉野市環境保全推進委員会)

第11条 市は、前条に規定する総合的調整を行うため、玉野市環境保全推進委員会(以下「委員会」という。)を置く。

2 委員会は、市の関係部局の長をもって組織する。

3 前2項に定めるもののほか、委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(環境保全に関する協定の締結)

第12条 市は、環境保全上の支障を防止するために必要があると認めるときは、事業者等と環境保全に関する協定について協議し、その締結に努めるものとする。

(環境保全に関する施設の整備等)

第13条 市は、下水道、廃棄物の処理施設その他の環境保全上の支障を防止し、又はその防止に資する公共的施設の整備を推進するとともに、事業者及び民間団体によるこれらに準じる施設の整備が推進されるよう必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、前項に定める施設の適切な利用を促進するための措置その他これらの施設に係る環境保全上の効果が増進されるために必要な措置を講ずるものとする。

(環境美化の推進)

第14条 市は、地域の良好な環境を保全するため、ごみの投棄、散乱の防止等に努めるものとする。

(調査等の体制の整備)

第15条 市は、環境の状況を把握し、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するために必要な調査、監視等の体制を整備するよう努めるものとする。

(環境教育及び学習の推進)

第16条 市は、市民及び事業者が環境の保全及び創造についての理解の増進並びにこれらの者による環境の保全及び創造に関する活動の促進に資するため、環境の保全及び創造に関する教育及び学習の振興並びに広報活動の充実に関し必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(自発的活動の推進)

第17条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間団体(以下「市民等」という。)が、自発的に行う緑化活動、環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(広域的連携)

第18条 市は、地球環境保全その他広域的な取組を必要とする施策の実施については、国際機関、国、県、他の地方公共団体等と協力して、その推進に努めるものとする。

(情報の収集及び提供)

第19条 市は、環境の保全及び創造に関する情報を随時収集し、これを適切に提供するよう努めるものとする。

(市民等の意見の施策への反映)

第20条 市は、市民等の意見を環境の保全及び創造に関する施策に適正に反映させるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(環境審議会)

第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、玉野市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関する事項

(2) その他環境の保全及び創造に関する基本的事項

3 審議会は、15人以内の委員をもって組織する。

4 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験を有する者

(2) 公募に応じた者

(3) その他市長が認める者

5 委員の任期は、2年とし、再任は妨げない。

6 委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

7 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選により定める。

8 会長は、審議会を代表し、会務を総理する。

9 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は欠けたときは、その職務を代理する。

10 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、その議長となる。

11 審議会は、委員の過半数の出席がなければ会議を開くことができない。

12 審議会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

13 会長は、必要があると認めるときは、会議の事案に関係する者の出席を求め、その説明又は意見を聴くことができる。

14 審議会の庶務は、市民生活部において処理する。

15 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(一部改正〔平成23年条例2号・28年1号〕)

(年次報告書)

第22条 市長は、環境基本計画の適正な進行管理を図るため、毎年、市の環境の状況、市が講じた環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにした報告書を作成し、これを公表するものとする。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成14年4月1日から施行する。

〔次のよう〕略

(平成23年3月22日条例第2号)

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(平成28年3月23日条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

玉野市環境基本条例

平成14年3月29日 条例第12号

(平成28年4月1日施行)